ことなかれ

あたりさわりのない日々の記録

おはかこわい

お墓怖いって言うじゃないですか。

お墓?こわいこわいって。言うじゃないですか。

オバケ出るからって。

あの、僕ね、オバケ出る的な話で言うなら、

お墓が一番怖くないと思うんです。

だって、オバケの立場になってみて下さいよ。

行きます?お墓。

ダサイっしょ。

お墓とかいって、オバケ的には絶対ダサイっしょ。

自殺の名所とかはそりゃもう行きますよ。

週末の度に行きますよ。オバケ的には流行発信地ですからね。

いわば渋谷じゃないですか。

最先端のオバケ達が集まる最高にホットな場所ですよ。

それに比べてなに?お墓って。

あれだって霊を成仏させるためにあるわけでしょ、

ガンガン成仏させようとして来よるわけじゃないですかあいつら、

しかもなんか石積んどけ的な。わりと浅はかな考えで。

あのー先輩、この霊魂どうします?

あぁワリ、ちょっと手ぇ離せないからそのへん置いといてくれる?

え、でも危なくないっすか?化けて出たりすんじゃないっすか?

平気平気、適当に石でも積んどきゃ成仏すっから。

マジすか。

あー、まあ、多分そうだろ?

そっすよね。

みたいなノリじゃないですか。

本当にそれでいいのかどうかは誰にも確認取ってないわけで。

そんなのね、実際成仏してないオバケ的には許容できませんよ。

何がお墓だと。バカかと。

おまけにお盆になったら先祖の霊だかが

我が物顔で帰ってきたりするじゃないですか。

オバケっていうのは基本的にアウトローですからね。

なんなら革ジャン着てますからね。

ケッ。なにが成仏だと。こちとら人を驚かしてなんぼだろうと。

俺ぜってえ成仏とかしねえから。ダセェしマジ無理だから。と。

斜に構えているに違いありません。

ですからそんな、人に悪さをするような気合いの入ったオバケが

お墓にいるはずがないのです。

そんなことをずっと考えながら、

深夜、実家へ向かい墓地の脇のあぜ道を小走りで駆け抜ける週末でした。