メモ帳
南北線で前に座っていた人。
「It's your color.」と書かれたオカダヤの紙袋がダンボールの色だった。
・想像プロフィール
天才的な手芸の腕を持つその世界(秋葉原界隈)では伝説の男。
バービー人形に精巧なコスプレをさせてあらゆるアニメキャラを再現したのち、
最終的にはガンダムにしてしまう事で有名。
その神がかった腕前からネットの世界では「様」付きで呼ばれ崇拝されているが、
現実では深夜のローソンでレジを打っている。
バイトの先輩(年下の劇団員)によく頭を叩かれ、そのたび苦笑いを浮かべるが、
内心では自分の方が格上だと思っている。
最近親のツテで叔父が経営する旅行会社に就職が内定した。
まあ。
メモ帳をね、いつも持ち歩いているんですけど。
それでよく前に座った人の顔を描いてます。電車とかで。
良い顔ってあるんですよ。美形とか不細工とかじゃなくて、
顔の向こうに背景が浮かんでくると言うか。
僕の与り知らぬ何かに強烈なこだわりを持っているような。顔。
とにかく自分にないものを持っている人って興味があります。
友達になれるかどうかは分からないけれども。
そういう顔に出会ったら、そのとき感じた事とあわせてメモ帳に記しておこうと。
放っておくと忘れてしまうし。
とはいえさすがに失礼なので
本人にバレないように気をつけながら描いているのですが、
隣に座っている人に見られてくすくす笑われたりするので困ります。
もう。その反応でバレるでしょうが。
携帯の覗き見防止シートみたいに、僕のメモ帳にもそういうのが貼れたらいいのに。