ドロン
金曜ってほら、ハロなんとかウィーンみたいなのあったじゃないですか。
カボチャに穴をあけたり、仮装して近所を回ると飴がもらえたりするやつ。
日本人には盛り上がり方がよくわからない例の。
僕はその日終電まで赤坂で打ち合わせだったんですけど、
走って飛び乗った終電車に、忍者が乗ってました。
忍者が、乗ってました。ひとりで。
ね。
あー、今日はハロ、なんとかの日だからね。
あるある。って、他の乗客達もそれほど驚いた様子はなく、
まあ、どっちかって言うと冷ややかな視線を投げてました。
さっそく僕もその視線のひとつに加わったわけなんですけど、
なんかその忍者、懐から携帯電話を取り出して、
必死に終電調べてました。
ええ。
おそらくそのとき乗客全員が思っていたであろう事をあえて申し上げるならば、
「忍法でなんとかしろよ!」と。
だいたい終電気にする忍者ってなんだよ。何の用事だよそれ。
だいなし。忍者だいなし。
仮装したまま飲んでたらいつの間にか終電が来て、
着替える間もなく慌てて席を立ったら上司に止められて、
いや、すんません、自分あれなんで、明日あるんで、ホント、今日は、ドロンします。
みたいな状況まるだしじゃないか。
うーわ。こわいわ。ぜったいドロン言ってるわこの人。
ゴザルとかも頻繁に言ってたわ。仮装って危険だなあ。
自分もなんかの間違いで全身タイツとか着ないようにしよう。
ニンニン。