式
あのー、結婚式をね。してきまして。
どう?
みんなしてる?結婚式。あーやっぱするよねー。
会社帰りに同期で集まって、やっぱ夏はみんなで結婚だよなーつって。
合コン感覚で結婚式、してる? してるの?やめなよ!
そういうんじゃないから結婚式って。
それあれだから、そういう宗教のやつだから!
まあ、僕がやったのは親族中心の小規模なやつなんですけど。
函館でやるってんで、ちくちく準備してました。
縁があって函館市内の教会でやらせてもらうことになって、
なんか本当は信者さんしかやってないんだけど、
2時間説教を受ける事でやらせてもらえるということで、
いろいろ話を聞いて。ユダヤ人がどうとか。
まあその時がっつり熱出てたんであんま覚えてないですけど、
とにかく病める時も健やかなる時も〜みたいなやつを熟読して
いざ事に挑んだわけですが。
あのー、なんだろ。
司祭様。お疲れだったのかなー。
半分くらい僕の名前間違えてましたよね。
「イタガキヨウスケは夫として〜」つって。
僕も一応「はい!誓います!」つって。そりゃ練習したんで言いましたけど。
完全にイタガキさんに誓っちゃってる。
誰なのイタガキさんって。
でも、まあ、誓うんじゃないですかねー?こうなったらさすがにイタガキさんも。
と、もう勢いで、うぉりゃー!つって、気持ち切り替えて対応してました。
さすがに登場するのが全部イタガキさんだったら止めようもあるんですけど、
ちょいちょい正解入れてくるもんだから、
え?ああ、はい。そうです。それたぶん僕です。みたいな感じで
自分の存在があやふやなまま式を終えました。なんなの。結局僕は誰なの。
まあ最後の方はもう僕も、イタガキさんおめでとう!という
清々しい気持ちになってましたしね。
あと奥さんは横で爆笑してました。
司祭様のありがたいお話に堂々とイタガキさんが登場するたびに
横で「ぐっぅう・・!」といううめき声が聞こえて。
いや笑い事じゃないよ。
あなたさっきから知らないイタガキさんにいろいろ誓っちゃってっから。
ぐいぐい来てっからイタガキの存在感。
まあ、いいか。
無事終わったし。基本的にはつつがなく。
あれはまあ、やっとくもんですね。
いろいろためになりました。
どこかのイタガキさんに祝福あれ!