ことなかれ

あたりさわりのない日々の記録

立山に登った気がする

夏にね。北アルプス立山という山に登ってきたんですよ。

日帰りでは不可能なので、初の山小屋泊というのを経験することになりました。

山小屋って言うとあれです。

遭難しかけた男女がこのままでは凍えてしまう! つって逃げ込むけど、

なんか毛布が一枚しかなくて、そうなるともう裸で抱き合ってもいいっていう。

何となくまあ、

オッケーな雰囲気が自然と漂う唯一のシチュエーションじゃないですか。

まあ、だからというわけでは、そんな、ないんですけど。

とにかく山小屋に泊ろうと。それからだと。

いや、全然そういう、やましい気持ちとかはなくて、

もっと純粋に、こう、そこに山があるから的な? あれで、あとあわよくば

くだんのシチュエーションに陥りたい。

女の子とイチャイチャしたいという純粋な気持ちで、山に登り始めたわです。

初日はとにかく山小屋に到着するまでを目標として出発。

長野県側、扇沢駅からトロリーバス黒部ダムを通過して、ロープウェイ、

さらにトロリーバスを乗り継いで、室堂平へ到着。

ここまではわけありません。

とはいえこの時点で標高は2400mを越えていて、

これまで僕が登ってきた山だと頂上クラス。

だのになんか立派なホテルとか温泉なんかもあって、(日本最高所のホテルらしい)

あたりをスカートとスニーカーで歩いている人もいるのどかな平原といった様子です。

すげえぜ立山。レベルが違うぜ。

いかん、僕も標高2000m程度で動じない様子を示さなくては。

つってご当地ソフトクリームなどを食べてしばらく馴染んでました。

ククク・・・誰も今僕のテンションがMAXだとは気づくまい。

いや、ほんと、そんなことしてる場合じゃなかった。

僕が目指すのはあくまで山小屋。

初日宿泊する予定の山小屋は一ノ越山荘という標高2700mの地点にある、

まあまあハードコアな山小屋で、ここから1時間は登らないといけない。

なのに気づくと日は暮れてきてるし、なんなら雨も降り出してる。あ、やばい。

つって慌てて登り始めたんですけど。雨脚の強まる中。ひたすら登りで。

正直、この旅の一番ハードな局面を迎えました。

いきなり山場。文字通り、山場。 山しかないの、山とかいって。

這々の体でなんとか暗闇が訪れる前に一ノ越山荘に到着。

実のところネットでの評判がいまいちだったのでびびっていたのですが、

至って親切な対応で、部屋も畳が敷いてあるし、

蛇口をひねればちょろちょろ水も出るし。

ご飯もおかわり自由だしで想像よりずっと居心地の良い空間でした。

風呂やシャワーが無いのと、トイレがバイオトイレなくらいで。あとは問題なし。

若い女性客もちらほらいましたが、見た感じ山スキルが数段上。何あの余裕。怖い。

と、いつもの劣等感とよろしくやりながら、

ともかく疲れきっていたので倒れるように就寝。

翌朝は御来光を拝むため、3時に起きてすぐ隣の雄山にとりつき。

1時間ほど暗闇の中をヘッドライトを頼りに登ります。

とにかく雄山で御来光。立山登るならコレ。という話をネットで見たもので。

山荘に日の出の時刻が書いてあったのですが、4時30分とかで

けっこうギリ。ああ、またギリ。

 

 

 

 

夜の山は不安だったのですが、

既に先行している人たちのヘッドライトがちらちら見えて

ちょっと安心。と同時に遅れを取っている事に焦りつつ、ぜえぜえ言って、

辛うじて日の出までに頂上に着くことができました。

よし、これで立山登ったぞ。と。

 

 

 

 

 

そこで見た日の出は、今まで見た風景の中で最も美しいものだったと思うんですけど

なんか、それどころじゃなくて。頂上は。寒さが暴力の域で。

ほんと夏山の寒さ舐めてた。ダウン着てくるんだった。

歯がガチガチ鳴るし景色どころじゃないの。

日が出るまでは動く用事もないし、

雨具からなにから持ってきているもの全部着込んで震えてました。

そこでちらっと聞こえて来たんですけど。

立山来たら立山三山を登らんでどうする。と。

立山来て、雄山登って、わー立山登ったわーって、なに、やる気あんの?

ということらしい。ああ。どうもすいません。

立山三山とは、雄山、浄土山、別山の3つの山のこと。

ええー?そうなの。そういうの言っといてよ。

僕が読み飛ばさない方のサイトに載せといてよ。

そうなるとまだ一個しか登ってないぞ。

しかも浄土山って山荘の反対側じゃないか。うーん。

南無三!

つって登ってきた斜面を引き返し、浄土山を登り、

また引き返して再び雄山に登ってその先の別山を目指すという、

優柔不断を絵に描いたような行ったり来たりを敢行する事になりました。

4時間くらいかけて。

 

 

こんなところを行ったり来たり。

 

 

ただもうここまで来たらあとひとつ落とせば完遂だ。

まあ、ここらでひとまず落ち着こう。つってカップ麺などを食べていると、

再び新情報。もう、聞き耳を立てることが最大の情報源。

なんでも立山っていう山はないんだって。

あー、そういえば。さっきのは雄山だったし。あれー?とは思ってたんですけど。

立山とは、雄山、大汝山、富士ノ折立の三つの頂の総称とのこと。

えええ!?

そこもう立山三山と一緒で良くない?

なんでちょっとずつ違うの?

なにそのウォークマンのイヤホンがケンウッドに刺さらないみたいなやつ。

そこ規格合わせときなさいよ!

 

 

ああいっぱいある。山が。どっちを見ても山だ。

 

 

仕方がないので慌てで大汝山、富士ノ折立にアタック開始。

ここはもう僕レベルでは絶壁と言っていい岩山で、

ザックを背負っては行けないので途中でデポしたり。

あのー、こんなやつ最近までヤングジャンプでやってた。

あの主人公すげー死にかけてた。ほぼ死んだと言っていい顔してた。

やだよー。死にたくないよー。

でもここで行かないとなんか駄目な感じがするよー。

と、最高峰の大汝山にとりつき、

富士ノ折立にへばりつき、

ようやく降りて来たところで日暮れになりました。

あー。

別山断念!

立山三山ひとつを残してあえなく下山という。

何だよ、立山って結局いくつ山登ればいいんだよ。

こんだけがんばったのに最終的に挫折感!何だよ!

まあ結局、初日に浄土山を回って一ノ越山荘に到着せねばならなかったらしく、

そもそも最初から間違えてた。

ソフトクリームに全て持ってかれてた。

あの野郎!ソフトクリームの野郎!甘いし!おいしいし!好き!

とにかくここで日が暮れたら本気で死ぬので

その日は下ってふもとの雷鳥沢山荘に宿泊。

ここは温泉もあって水も出る普通の旅館みたいなところでした。

食堂で一緒になった熟年夫婦がしつこく剣岳を進めてきたので、ハイハイ言いつつ、

翌日は室堂散策してソフトクリーム舐めながら帰りました。

何か大きな忘れ物をしてきた気がするけど。

まあ。

 

 

 

初日泊まった山小屋。ここ。

  

 

室堂。みくりが池。

 

 

雷鳥沢には雷鳥がいます。

かわいい顔だけど鳴き声は新橋のおっさん。ゲゥェエーつって。

 

 

雷鳥沢の近くにある、硫黄のガスが景気よく吹き出す地獄谷。

立ち止まったら死にます。くらいのことが平気で書いてある。

はっきりと体に悪いことを公言しているえらく男前な観光地。

 

 

うーん。一歩足らず。