ことなかれ

あたりさわりのない日々の記録

野沢温泉

ちょっと前にね、休暇取ってスキーに行ったんです。

長野県は野沢温泉という、ちょいと離れたところまで泊まり込みで。

ここ数年は行けても日帰りばかりだったので、久々に時間を気にせず滑れるぞーと。

チューチュートレインを口ずさみながらゲレンデに飛び出したんですけど、

初日に強風のためリフトが止まり、

2日目は濃霧のためリフトが止まりました。

まあ、ちょうどその頃東京では春一番が吹いていたというね。

もうみんなあれでしょ?ちょっとうれしい感じで迎えたんでしょ?春とか。

女子達はキャッとか言ってスカートの裾押さえたりして。

それをおじさん達がニヤニヤしながら見たりして。

もうね、こっちそれどころじゃなかったから。

春の嵐、全身で受け止めてたから。

がっぷりよつなうえ土俵際まで追いやられてたから。

ああ、土俵って言ってもあれね、人生のね。

人生の土俵際見えちゃった。

そこを越えたら人生を引退しないといけない。横審が黙っていない。

まあ。崖。崖があって。実際は。ゲレンデの両側に。

強風によって崖へ崖へと追いやられる。

死ぬよね、そしたら。

2日目は2日目で、霧がね、出てまして。

崖へ崖へといざなわれる。知らない間に崖が迫ってきてる。見えない崖が。

そういったもろもろにおびえつつ、

頻繁に停止するリフトに気を使いながら滑っていたら

日が暮れる頃にはくたくたになっていました。

いや、しかしそこは温泉街。温泉がどばどば出てるわけですから、

それに入って疲れを取れば良いんじゃないかと。懸命な判断をいたしまして。

温泉街のなかでも最も由緒正しい木造の大浴場に飛び込んだのですが、

なにやら中に外国の方がたくさんおられまして、湯船にガンガン水を入れてました。

わー、ちょっ、ノーノーノー!水、ノー!

なんだろ、日本文化のまっただ中でまさかのアウェー感。

なんかガタイのいい数人の西洋風おじさんが浴槽の奥に陣取っていて、

「ヘイ、見ろよ、ジャップが入ってきやがったゼ!」見たいな目で僕を見ます。

まあそれは気のせいなんですけど、普通に優しそうな人たちなんですけど、

ただね、お湯が熱いのはあなた達のポジションが

源泉の真ん前だからですよ!こっちけっこうぬるいですよ!

そんな説明ができるはずもなく、

閑静な温泉街に迫る欧米化の波に辟易しながらも、

仕方がなくぬるいお湯にふやけるまで浸かっていました。

まあ、おかげで疲れも取れましたし、

野沢菜パイも買って帰りましたけどね!

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