鍵がない件
僕が部屋の鍵を無くした時の話をしましょうか。
あの、オシャレGパンを買ったんですよ。
キムタクみたいな人がはいてるやつ。
いや知らないけど、なんか穴とか空いてるんですね。
新品なのに穴が空いているんですよ。
普通なら怒りますよね。コラー!つって。
でもそんなことでは怒らないんですよ。キムタククラスになると。
それがオシャレってもんですよ。モテなんですよ。
だから僕もですね、モテたい一心でですね、そういうGパンを買ってみたんです。
もうポケットとかにもこれでもかというオシャレ穴が空いていて、
それで、鍵落としました。
部屋の鍵を落とすとどうなるかというと、
あのー、つまり開かないんですね。ドアが。
一日の仕事を終えて帰ってきてもドアが開かないと部屋に入れませんよね。
部屋の前で膝を抱えてしばらく泣きますよね。
深夜の東京で帰るところもなくひとりぼっち。
これからは路上生活なのか。教会の炊き出しで命を繋ぐ日々か。
と、メソメソしていてもしょうがないのでなんかもう再出社です。
勢いで朝まで仕事をしました。
せっかく帰れる日だったにもかかわらずの完徹。
翌朝冷静に考えて不動産屋に連絡し、
発見したスペアキーから合い鍵を作らせてもらい、
ようやく昼過ぎに自分の部屋に入ることができたのでした。
一日しか経っていないはずの我が家はどこかよそよそしくて、
以前とは空気が変わったような感じがします。
とにもかくにも念願だったシャワーを浴び、新しいシャツに着替えて
ふたたび出社するため後にしました。
まあ、それが今日なんですけど。
帰る家があるって素晴らしい事なんですね。