ことなかれ

あたりさわりのない日々の記録

シチューと理想

シチューのCM。

ね。

シチューのCMあるじゃないですか。

季節はずれな話題で申し訳ないんですけども。

先日外部のプランナーと得意プレゼンの帰りに食事をしたんですけど、

そこでシチューのCMの話になったんですよ。

彼曰く、あそこには理想の家庭がある。と。

それはもう熱っぽく語ってくれました。

僕も負けずに熱くなりました。

なにこれ。

曇った窓ガラスの向こうには絵に描いたような暖かい食卓があって、

夕食の準備が進んでいる。

テーブルにはもう父親と子供達(兄妹)がついていて、

それが運ばれてくるのを今や遅しと待っている。

そこへ母親の満面の笑みとともにシチューが登場。

子供達は大喜び。わっしょいわっしょい。シチューわっしょい。

やがてカメラは再び窓の外に引いていって、

同じような風景が展開されていることを予感させる明かりのついた家々。

そして平和な夜の街の俯瞰。

遠くでは下り電車がゆっくりと進んでいくのが見える。

いいわー。アレを手に入れたら勝ちだと思うよ。男として。

そうっすそうっす。間違いないっす。

喫茶店でアイスコーヒーをすすりながら、

そんなことばかり言ってる男ふたり。

やっぱスプーンは木のヤツだよねー。

焼きたてのパンがカゴに入っててさー。

ギンガムチェックのテーブルクロスでさー。

暖炉があってさー。

花瓶に花が絶えることなくてさー。

と好き放題言っていたら、隣で聞いていた営業の女の子に

そんなの準備するの面倒くさいから嫌。

と一蹴されました。

こうして男達の夢は儚く散ったわけですが、

なんだかそのプランナーのプレゼンでの勇姿と

今こうして僕と一緒にしょんぼり背中を丸めているギャップが不思議で。

そういうもんか。

まあ、確かにね。

真理はいつも小さな失望とともにやってくる。